「ヴァロットン 展」2章-1
丸の内の三菱一号館美術館で開催中
ヴァロットンー冷たい炎の画家
2章 平坦な空間表現
<絵画配置図>
番号は図録及び展示リストの作品番号
作品名、制作年、所蔵先の順に記載
所蔵先無記入は三菱一号館美術館の所蔵
1891年の秋を境に
ヴァロットンの画風は変化する。
遠近法から解放され、
平面を組み合わせて構成する、
空間表現の拒絶である。
そして、消失点を失ったかわりに
「視点の移動」(浮世絵の影響)を獲得した。
この2点は
ヴァロットンの出発点が
版画であったことと切り離せない。
細部を犠牲にした形態の優位と
装飾的曲線の多用は
木版で培った技術に寄るところが
大きい。
「自然の形式的な模倣から解放された絵画」や
「効果的な太い輪郭線と、
光線の具合や1日のうちの時間に狭量に
執着することなく選択された幾つかの細部」によって
自身の感情が表象される風景画
というヴァロットン自身の理想に
基づいた作風である。
永遠に凍りついたかのような
静かな自然界を描いた幻想的イメージは
「絵画の形而上学」という彼の文章をそのまま体現している。
18.肘掛け椅子に座る裸婦
1897年 グルノーブル美術館
ヴァロットン特有の覗き見的視線の中に、愛情の感じられる数少ない作品。
まず配色がカワイイ!赤い絨毯に赤い椅子、というのが◎ 巾木の黒と右側の額縁の黒がアクセント。額絵のクリーム色が 絶妙なポイント☆
29.月の光
1894年 オルセー美術館
ナビ派の装飾性と北方のロマン主義的伝統が融合した画面。
これはとても好きな作品。ダークな色合いがステキな上に、月の色が本当に怪しい。ユニークな雲の形に目を奪せておいて、実は川岸のラインが不均衡。みるみる怪しい気持ちになってくる、キモカワの絵。
86.夜
1895年
61.美しい夕暮れ
1892年
17.ワルツ
1893年 ル・アーヴル、
アンドレ・マルロー美術館
リトグラフの「クラッシュ(吹付け)」技法の応用が不思議な空気感を生み出す。
ポスターみたいな油彩画。浮遊している感じが、ワルツの音色のよう。右下の女性のウットリした表情がバー◯◯パみたいで、カワイイ◎
16.プードルと婦人(上図 右)
1895年 ミュンヘン、個人蔵
ご婦人、貴女もあちこち絞ってプックリしてて、プードルみたいですね!と、ヴァロットンの皮肉が聞こえてきそうです。ドレスのモスグリーンと金茶色のストールと、建物の色がステキ。建物の扉が定規をあてたみたいにきれいな格子なのもカワイイ◎
15.洗濯女 (上図 左)
1895年 個人蔵
水色と白のチェックの洗濯袋がカワイイ◎上着のピンクと似合っています。窓辺の赤と白の花が目を引くアクセント。さらに!黒い靴の先がとんがっているのが、カワイイ◎!実は髪の毛がステキな茶色。全体の質感も好きな絵です。
19.公園、夕暮れ
1895年
主題的にも様式的にもナビ派から影響を受けた作品。パリの人々の類型が、見事な観察眼で示されている。
小品ながら、額縁とのバランスが見事で、いつも持って帰りたくなる作品です。
20.リュクサンブール公園
1895年 株式会社講談社
手前の男の子の無邪気な顔と人生を噛み締めたような退役軍人?の交差。全体ひ黒い服の人が多いところは、ルノワールのムーラン・ド・ラ・ギャレットを思い起こします。
76.突撃
1893年
66.街頭デモ
1893年
定期刊行された版画集「レスタンプ・オリジナル」の一枚。
(つづく)
(685日目)
お目当ての絵はあったでしょうか?読んで下さりありがとうございます。あなたという宝石がますます輝きますように✨
画像及び解説は本展図録によります。
©2014 三菱一号館美術館/日本経済新聞社