ルーヴル美術館展・その2
にて
2015.2.21〜6.1.mon
開催
ルーヴル美術館展
風俗画の歴史にフォーカスした
展覧会です。
印象に残った作品を
ピックアップします。
<会場図>
第Ⅲ章
雅なる情景ー日常生活における恋愛遊戯
48.ジャン=アントワーヌ・ヴァトー
「二人の従姉妹」1716年頃
ロココの帝王、ヴァトー。と、勝手に呼んでいます。36歳と、早くに亡くなりますがその画業はまさに帝王の名に相応しい、と勝手に思っております。この絵もヴァトーらしさが溢れた一枚。美しい従姉妹たちと甘い予感。サテンの輝きと優美な庭園。そこはかとない寂寥感。この章では出色!の作品です。
第Ⅳ章
日常生活における自然ー田園的・牧歌的風景と風俗的情景
54.アンニーバレ・カラッチ
「狩り」1585-88年頃
画面いっぱいの登場人物と動物たち。ブリューゲルを彷彿とさせます。想像が膨らんで楽しいです。
55.ペーテル・パウル・ルーベンス
「満月、鳥刺しのいる夜の情景」1635-40年頃
夜の色彩、とりわけ満月の輝きが美しいです。
59.ウジェーヌ・フロマンタン
「アルジェリアの鷹狩り」1862年
オリエントな風景が新鮮でした。鮮やかな色彩とダイナミックな動きの伝わる構図が印象的。フロマンタン、と名前を入力したら「風呂満タン」って変換されて。笑。カナ入力です。ワタシ。
61.コンスタン・トロワイヨン
「柵」1853年
牛!水辺!そして牛飼いの青いセーター。まごうことなきトロワイヨンの佳品。
62.ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
「水汲み場のブルターニュの女たち」1840年頃
コローにしては珍しい、空の広い作品。その空のブルーと子供の赤い頭巾が明快なコントラストで美しいです。そして井戸の石組み。石の画家、コロー(と、勝手に名付けています)面目躍如の生き生きとした石の描写が素晴らしいです。
この章、フラゴナールもありました。
中央のベンチから鑑賞するも良し。
休憩コーナーで、外光を浴びるも良し。
ひと休みして後半に備えるのにも良いスペースです♫
第Ⅴ章
室内の女性ー日常生活における女性
63.ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「鏡の前の女」1515年頃
99 × 76 という大きさから放たれる輝きに圧倒されます。デコルテの白さも美しいですが、私が惹かれたのは左手小指のピンキーリング。ルビーなのかガーネットなのか、まろやかで可愛らしい。間近で見る女性像は、瞳が潤んでいるよう。恋人の為の支度なのか、高揚した気持ちが伝わってhappyになります。
67.ヤン・フェルコリエ1世
「授乳する女性」1675年
背後の豪華な室内装飾がモデルの裕福さを物語っています。女性の衣装も素材が高級です。それより目を引くのはテーブルの織物。高価な赤色をふんだんに用い、目の細かい多様な模様。ため息が出るほどゴージャス。赤ちゃんに目がいくのはそのあと。金髪の巻毛のカワイイ子は、オッパイに気持ちを寄せつつ、好奇心いっぱいで犬を見つめています。
71.フランソワ・ブーシェ
「オダリスク」1745年(?)
モデルはブーシェ夫人と言われているそうです。キレイな方。画家の奥さんもたいへんですね……。
73.ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
「コローのアトリエ」1873年頃
どうしてこの絵葉書を買っていないのか、自分で自分を叱りました(T_T)
キャンバスに向かって座る後ろ姿の女性。モデルらしき衣装を着けています。周りにはマンドリンなど、コローの絵に登場する小道具がたくさん。セピアな色調がコローらしい、美しい絵です。
ほぼ同じ構図の絵が三菱一号館美術館で開催中の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」に出ています。比べて見ると面白いですね。
コローの絵はもう一枚ありました。
が、こちらのほうがコローらしさが感じられて好きです。
第Ⅵ章
アトリエの芸術家
76.ニコラ=ベルナール・レピシエ
「素描する少年」1772年
キャプションの記憶が曖昧なのですが、画家の友人の子息が弟子入りしていて、それを描いた、という説明だったと思います。「少年はデッサンが得意らしく口元に自信に満ちた微笑みをたたえている」とも。簡素な家具の描写や少年の表情がとても魅力的。少年の着るグレーのコートにも惹かれます。
この展覧会でBest3に入る位、好きな作品です。絵葉書になっていてとっても嬉しかった🎵です。
その他、ブーシェのアトリエ絵画もありましたが、オクターブ・タサエールがなかなか好きでした。
猿を擬人化して描いた絵が何枚かありました。フランドルで流行したそうです。
個人的にはあまり気持ちの良いものではなかったです。同じ擬人化なら、鳥獣戯画や北斎漫画の方が、ずっとセンスが良いと思います。でも、擬人化の手法が東西で共通するのは面白いですね。人間を客観視して、冷めた視線を笑いに転化出来るのが、人間の良いところでしょうか。
おっと。最後にこの作品がありました。
81.ユベール・ロベール
「ルーヴル宮グランド・ギャラリーの改修計画、1798年頃」1798年頃
廃墟の画家、ユベール・ロベールの一枚。ルーヴルに入って数多作品を手掛け、「ルーヴルのユベールのアトリエ」と言われる程だったそうです。ルーヴル美術館展をルーヴル美術館内部の描写で締めくくる、洒落た展示でした。
風俗画の視点から
まさに絵の中に生きる人々、
描いた人の生きた時代を感じ
想いをはせる、
人間賛歌
といっても過言でない
幸せな気持ちを与えてくれる
ユニークな企画に感謝!
そして。
ルーヴルの質の高さを
しみじみと感じます。
パリを訪ねたくなる
罪作りな企画展。
でした。
(937日目)
ご覧下さり、ありがとうございます。あなたに楽しい出来事がたくさん!ありますよ🌟うに
画像は本展フライヤー及び絵葉書によります。