ファンデー・西洋美術館 ②
国立西洋美術館(上野)
ファン・デー
に、行ってきました。
ファン・デーでは
常設展が無料開放となります。
企画展の熱を冷ましたり
自分を取り戻すために
足を運ぶことの多い常設展。
どうしても
自分の好みに偏った鑑賞に
なりがちです。
そこで今回は
いつもさらっと流してしまう
2Fの「近代以前」の美術を集めた
コーナー
その中の
一枚を、じっくりと鑑賞しよう
と、思い実行しました。
幾つか迷いましたが
これに決めました。
樫の森の道
ヤーコプ・ファン・ロイスダール
17世紀(制作年不明)文化庁より管理替え
ロイスダールといえば
オランダの
干拓によって開けた国土を
数多く描いた画家。
平坦な大地に
大きく広がる空と
そこに湧き出る
ドラマチックな雲の風景
広々とした空間表現が
魅力的です。
しかし
この絵は
どちらかというと
暗くて狭い、風景画。
ロイスダールらしくないな、
と思いつつも
じっと見ていますと
だんだんと
暗闇に目が慣れるように
色々なものが見えて来て
とても面白い!
スポットライトが当たったような
樫の木、その樹皮の剥げた幹の表現
森の向こうの田園に聳える風車の細やかな描写
そして一見静かに見える絵画に
たくさんの生命があります。
もうもうと立ち上り、道の方までたなびく煙、その火を起す2人の人物、連れてきた犬(?猫?)
煙の傾斜から
相当に風の強いことが
分かります。
森はざわざわと
音に溢れていたことでしょう
激しい風に流れる雲
その風に抗って舞う鳥たち
表題の樫の森の道を行く一組の親子
空と梢の描写はやはり抜群です。
長い時間、独占してしまって
他の鑑賞者の方には
ご迷惑おかけしました。m(_ _)m
そっとしておいて下さり、ありがとうございました。
一枚の絵をじっくりと見ることで
絵の中の風景をより深く味わい
画家の視線を感じ
ただ「受動的」に見るのではなく
「能動的」に感じる
心情的に「体験する」
ことができた気がします。
とても面白かったです。
そしてそれは
「時間を大切に扱う」
ことにつながるのではないかと、、、。
去り際にもう一度
シャッターを切りました。
自分しか分からないけれど
微妙に最初と違います。
merci...
(1034日目)
ご覧下さり、ありがとうございます。あなたに穏やかな時間がたっぷりありますように💖
その日の夜に
NHK教育のTEDの再放送を見ました。
ノルウェーでスローテレビが成功、という話題。(プレゼンとしては⁇)
暖炉の火を何時間もただ映すだけ、
とか
羊からセーターができるまでとか
(編み物をしている様子を延々と流す)
そんなユルい内容が高視聴率を記録したそうです。
そこでまさに西美で体感したことと
リンクする解説がありました。
船旅をリアルタイムで中継した放送の一場面。
本来なら編集して、まもなく別のシーンを入れたいところ。
生中継なので延々10分くらい、この映像が流れる。
すると、視聴者は画面の中に色んなものを見つけ始め、ストーリーを作り出すのだ、と。
ナビゲーターの伊藤穰さんは
私たちはいつも目的地への到着を急ぐけれど、途中を楽しむことも大切。それは「いま」をどれだけ楽しめるか?ということ
と、解説されていました。
それと共に
この日、西美で気付いたように
情報のインプットの洪水の中で
脳が主体性も持つ隙間が
スローテレビにはある
だから
面白さを感じる
のではないかと思いました。
そんな事を感じてから
家までのいつもの帰り道
ふと、立ち止まって
樹々を見上げ
意識的に「いま」を感じてみました。
暮れなずむ空に
糸のように
細い影がやって来て
季節を教えてくれました。
画像はNHK教育「スーパープレゼンテーション TED」6月15日放送よりお借りしました。