ラ・カルンニア
東京都美術館にて開催中。
ボッティチェリ展
HPはこちら
http://botticelli.jp
気になった作品が絵葉書に
ありました。
アペレスの誹謗(ラ・カルンニア)
サンドロ・ボッティチェリ
1494-96年頃
テンペラ、板
ウフィツィ美術館、フィレンツェ
誹謗中傷を被った人間を主題に
概念を擬人化している
面白い画です。
カタログによると
「古代ギリシアで最も著名であった画家アペレス」
が描いたとされる
「現存しない作品」
を、復元しよう試みた作品。
だそうです。
なんや、ややこしぃ
何故、現存しないのに復元が出来たか?
というと、
ある誹謗事件について
アペレスがこんな絵画を描いたよ!
という記述が残っているのです。
(ギリシアの作家、ルキアノスが
<エクフラシス>といって、美術作品を詳細に記述した文章を残しました)
①このエクフラシスがルネサンス期に
複数の言語に翻訳された。
②アルベルティの『絵画論』にて
学ぶべき歴史画として取り上げられた。
という2点が大きなきっかけとなり、
ルネサンスの画家たちが
≪アペレスの誹謗≫
という同じ主題に次々挑戦していった
ということらしいです。
マンテーニャやデューラーも
描いているそうです。
ボッティチェリは
この絵の中で
ルキアノスの記述には無い
建築背景
を描きこんでいるのが特徴
だそうです。
旧約聖書やボッカッチオなどに
材をとった浮き彫りのなかに
≪ケンタウロスの家族≫
が見えます。
これも先の
ルキアノスのエクフラシス
の再現だそうです。
つまり、二つの復元が
一枚の画の中で試みられているのです。
そういう非常に手の込んだ
取り組みからも
単に歴史画復元への挑戦
だけではなく
ボッティチェリ個人の
強い動機をもって描かれた
とも、言われています。
原因は
◯当時ボッティチェリが心酔したサヴォナローラに対する誹謗
◯サヴォナローラを支持するボッティチェリへの誹謗
◯ボッティチェリについての個人的中傷
など諸説があります。
ヴァザーリは、
絵の贈り先でボッティチェリの友人である銀行家に対する誹謗への抗議だとしています。
山崎マリさんでしたか?
どなたかが、
背景の人物の浮き彫りが
妙に生々しく人間臭く描かれていて
事件を取り巻く野次馬のようだ
と、評されていたのが
記憶に残っています。
裸身の『無実』が
松明を掲げる『誹謗』に
引きずられています。
誹謗は
従える
『欺瞞』と『嫉妬』
に髪飾り付けさせながら
貧しい身なりの『憎悪』
に、手を引かれています。
哀れな無実が
引き出されるのは
王様の耳はロバの耳!の
ミダス王を擬した『不正』
の御前
王のロバの耳の両側から
『猜疑』と『無知』
が、耳打ちしています。
彼らの後方には
『悔悟』
が、黒尽くめの服装で佇み
その視線の先には
天を仰ぐ孤高の
『真理』
見れば見る程面白く
また、
自らの戒めとしたい
絵画です。
全体画は本展絵葉書、部分は本展カタログよりお借りました。絵画の説明も本展カタログに拠ります。@The Asahi Shimbun 2016
☆こういう抽象的なことを明らかに具現化していくのって、西洋文明らしいな〜〜と思います。←括りが大雑把。
こういう西洋と東洋の決定的な違い、を感じられるのも絵画鑑賞の醍醐味です💕☆