ボッティチェリ展 第2章
ボッティチェリ展
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http://botticelli.jp
4月3日まで開催中
カタログ掲載順に
ざっくり辿っています。
第2章 フィリッポ・リッピ、ボッティチェリの師
15歳で修道士となるも、信仰心に乏しく、数々の不祥事を起こし、挙句に若い修道女を連れ去るスキャンダル。コジモはじめメディチ家の執りなしで、聖職禄を剥奪されるだけですみ、修道女との暮らしは許された。2人の間に出来たのが、ボッティチェリの弟子となるフィリッピーノ。
メディチ家がそれ程までに擁護したのは、リッピの画家としての才能の高さ故である。古典に学んだ確かな技量を持ちつつ、奇抜な構図や珍しい表現を試みた。当時注目され始めたフランドル絵画の画風もいち早く取り入れた。1468年末、スポレート大聖堂壁画を製作中に死去。
11作品 この章、全てリッピ作品
20. 玉座の聖母と天使および聖人たち
1430年代初頭 テンペラ/板
エンポリ、サンタンドレア参事会聖堂美術館
21.聖母子
1436年頃
テンペラ/板(新支持体に移し替え)
ヴィチェンツァ市民銀行
22. 聖母子と天使たちおよび聖人たちと寄進者
1435-37年頃 テンペラ/板
ヴェネツィア、チーニ邸美術館(ジョルジョ・チーニ財団
工房作品とみる研究者もいるが、リッピの若い時期(30歳前後)との見方で落ち着いている作品。
「ママー、抱っこ!」とおねだりしているようなキリストが可愛らしく、周りの天使も動きに味があってかわいいです。
23.ピエタ
1440年頃 テンペラ/板
ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館
まさにピエタ=哀悼の雰囲気に溢れた背景が、水墨画のようです。一瞬、ぎょっとしました。
24. セルキオ川の流れを変える聖フレディアヌス、聖母の死の告知、聖アウグスティヌスの幻視(≪バルバドーリ祭壇画≫)
1438年頃 テンペラ/板
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
リッピ、初期の代表作の一つ。
25. 聖母子
1445年頃
テンペラ/板
モンテスペルトリ、宗教美術館
26. 玉座の聖母子とニ天使、聖ユリアヌス、聖フランチェスコ
1445-50年 テンペラ/板
ロンドン、ピッタス・コレクション
27.ヴェールをかぶった女性頭部の習作
(バルトリーニの円形画のため)
1452年頃
尖筆、鉛白、ペンとインクおよび赤石墨による後世の補筆/黄褐色で下塗りした紙、裏張り
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
洗練された本素描は「理想的女性頭部像」と評されたこともあり、同時代の理想的な女性頭部表現の伝統の起源とも考えられている。
最初のフロア(B1)で釘付けになった作品です。ペンとインクとは思えない完成度。今にも動き出しそうな美しさに、暫く動けませんでした。
28. 受胎告知のマリア、大聖堂アントニウス
29. 大天使ガブリエル、洗礼者聖ヨハネ
28.29ともに。1450-55年頃 テンペラ/板
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
(部分)
背景の色や聖人の放射状の光線は後補と言われる。用途は不明。
最初のフロア、出口付近に大きく飾られています。背が低いので背伸びをしてもなかなか良く見えない高さなのですが、
上段の、
百合を持ったガブリエル と
青い衣のマリア
が、涙ぐむほど美しかったです。どこが、と詳しく述べられないのですが、細やかな表情、発色、細長い画面に練られた構図。マリアの足元の敷物まで、美しかったです。上階への出口から、3度戻って鑑賞しました。
30.座って書物を読む修道士の習作
(書斎の聖ヒエロニムス?)
フィリッポ・リッピに帰属
尖筆、ペンと薄めたインク、鉛白/青色に着色した紙
長年、所属が曖昧な作品。近年は、尖筆の特殊な使い方や衣紋表現などにリッピの特徴が見られるため、リッピに帰属として落ち着いている。
画像は本展カタログよりお借りました。絵画の説明も本展カタログに拠ります。@The Asahi Shimbun 2016
☆どなたか失念しましたが、「リッピがこんなにあるとは!」。
そう聞いて、第2章は期待していました。やはり素描は素晴らしかったです。
あとは、最後のマリアとガブリエル。
この画風をボッティチェリはどう受け継いだのか、などと考えるよりも、リッピの破天荒な人柄から滲み出る人間味を探して、味わった。と言えるかもしれません。見ていて楽しかったです☆