ふらりと旅する、文字の世界 (2)
2016.4/9〜6/5
世界の文字の物語
ーユーラシア 文字と形ー
不勉強でかなり幼稚な感想になりますが、楽しかった事がお伝え出来れば〜〜m(_ _)m
HPはこちら→http://aom-tokyo.com/exhibition/160409_writing.html
感想1 はこちら→http://chibakkye.exblog.jp/24441255/
展示構成は以下の通りです。
◯歴史のなかの文字、変わりゆく文字
◯古代西アジアと楔形文字
◯古代エジプトの聖刻文字
◯アルファベットの誕生
◯シルクロードとユーラシア大陸を駆けた文字たち
◯アラビアの文字とイスラーム
◯東アジア世界の文字
◯日本列島の文字
展示構成が
私にとっては
未知の世界→親しみのある世界
という感じでしたw
ギリシャ神話のモチーフなどから
十二支の動物たちに変わると
何故だかホッとしてしまいました。
外見はとても似ていて
日本語と同じ膠着語であり、
同じアルタイ語系とも言われる(諸説あり)
モンゴル語
しかし使用するモンゴル文字は
全く別の文字系統にあると知り
衝撃!
古代オリエントのフェニキア文字に源をもつ
アラム文字
から派生した
ウイグル文字が全面採用されたそうです。
ですので
縦書きなのですが
横にして見ると
アラビア語みたいです。
衝撃!
その後、
シリア文字や満州文字、ラテン文字
など様々な要素を取り入れつつ
最終的に
キリル文字を改良して
現代モンゴル文字に至るという事です。
衝撃!
↓
横にしてみました。こ、これは確かに…衝撃!
最後にやっと漢字の登場です。
展示の順序もそうですが
文字の歴史においても
甲骨文字から誕生した漢字は
かなりの後発組です。
というか
かなりの異端?
楔形文字とかヒエログリフなどより
ずーーーーーっと
ずーーーーーっと
数世紀ですね
後に誕生します。
そして漢字を今も使っているのは
そう
中国と日本だけです。
しかも。
漢字は
他の文字が様々に変化したのに対し
紀元前に発生した古代文字でありながら
「表意的な意味を保ったまま
現在まで使われている」
ほとんど唯一の文字体系
篆書や行書など
書体のバリエーションは生まれても
字体の変革は
1950年代の
簡体字(簡化字)までありませんでした。
これって凄くないですか?!
学者じゃなくても
古代の人と(意味はともかく)
文字で通じ合うことが出来る!
漢字!素晴らしい!!
急に漢字に愛着が湧いてきました☆
中国以外では
日本、韓国、ベトナム
の3カ国が漢字を用いていましたが
韓国語はハングル文字に全取っ替え。
ベトナムは漢字を改造したチュー・ノムも発生しましたが、フランス領になってからラテン文字の改造文字が公用文字に。
日本だけが、
漢字と
漢字から派生した補助表記としての
平仮名やカタカナを
併用しています。
日本語!
素晴らしい!!!
展示では
志賀島の金印や
七支刀など
主要な文字資料がレプリカながら
並び
歴史の流れがよく理解できました。
考え込んでしまったのは
近代の解説を読んでです。
明治になって
公用文書を楷書体で統一する
よう制定されたため
それ以外の書体が一掃されてしまった
情報伝達の効率化は促進したが
それまで読本など大衆娯楽に広く使われてきた
くずし字のリテラシーが奪われてしまった
例えば
二葉亭四迷の浮雲における
言文一致体の苦労など
近代がいかに現代に通じ得る
変革の努力がなされたか
そればかり教わってきたので
逆の視点が欠けていた事に気付き
軽くショックでした。
今はすっかり忘れていますが
学生時代、くずし字を、教わりました。
一覧をもって博物館へ行き
ガラスにへばり付いて
文書が読めた、あの感激
思い出しました。
あの真田十勇士も
八剣士も弥次さん喜多さんも
江戸の人たちは
くずし字で楽しんでいたのです
たまに
浮世絵の背景の
大店のお品書きが読めて
面白かったりするのですが
明治以前の日本人は
楷書体も
くずし字も
生活の一部として用いていたのです
改めて
失ったものの大きさに
愕然としました。
カタログでは
源氏物語を引用し
「なんでもかんでも昔より程度が悪く
底が浅くなってしまった
いま(平安時代)は仮名文字だけが
限りなく素晴らしい(高野切など)」(拙訳)
と書いた紫式部に
キーボードで叩き出され
もっぱら記録と伝達の道具として
役割を担う文字の現在を
どう思うか尋ねてみたい
と結んでいます。
文字の審美性は
「道」として
書道に残り
美文字なる言葉が生まれる現代。
それ程、悲観的なものではないかと
思います。
でも紙媒体自体が
衰退していく中で
言語の在り方そのものが変化し
それに伴って文字の存在意義も変容していくのは
避けられない事なのでしょう。
文字の歴史を学んで
その未来を思い
現在を考える
意義深い時間をいただきました☆
つづく。
展示品の画像は本展図録よりお借りしました。©️The Ancient Orient Museum,Tokyo/Museum of Yayoi Culture,2016