「オランダ ハーグ派展 」④第一章その1
で、6/29まで開催中
ゴッホの原点
オランダ・ハーグ派展
近代自然主義絵画の成立
(詳細はこちらのHP参照)
<第1章>
セクション 1 : 風景画
15作品
記載は
展示順に沿っています。
作品名
作家名
制作年/所蔵
を記しています。
★-☆ー☆ー★-☆
ハーグ派 The Hague School
は、1870年頃から1900年にいたる
約30年間にわたり
オランダ絵画に新風を
吹き込んだ芸術家たちの総称。
ハーグは、王宮を有した古都
でありながら、
港湾都市のアムステルダムや
ロッテルダムと違い
19世紀になるまで
自然がうまく残された土地
であった。
19世紀半ばには鉄道が普及し
ベルギーや遠くパリまで
容易に行けるようになった。
そこへバルビゾン派の活動が伝わり
同じような地理的状況のもと
自然主義絵画がこの地でも発展した。
自国の絵画の黄金期17世紀の先達
レンブラントやフェルメールが
描いた自然主義絵画を
より近代的に創造、発展させるべく
若き芸術家たちは奮闘した。
その活動の最も大きな成果は
世界の絵画史に足跡を残した
ファン・ゴッホとモンドリアン
の2人の誕生に寄与した
ことに集約されるだろう。
「ノールデンの5月」
ヴィレム・ルーロフス
1882年頃 ハーグ市立美術館
ハーグ派第一世代の風景画家。
ハーグで学んだ後、ベルギーに移り
1855年ベルギー水彩画協会設立に協力。ドービニーとルソーから多大な
影響を受ける。
1887年の帰国後、ハーグに住んだ。
水に空が映り込んでいるのがすてきです。小さな絵ですが、空と大地、縦と横の比率がとても良いと思います。
「アプカウデ近く、風車のある干拓地の風景」
ヴィレム・ルーロフス
1870年頃 ハーグ市立美術館
水際の、草の風になびく感じが好きです。
「虹」
ヴィレム・ルーロフス
1875年 ハーグ市立美術館
ターナーというか、コンスタブルっぽいですね。フラットな地形が類似している所為でしょうか。
「トレックフリート」
ヤン・ヘンドリック・ヴァイセンブルフ
1870年 ハーグ市立美術館
ハーグ派第一世代で最も著しい成功を
収めた画家。アメリカ、カナダでも成功を収め、なかでも水彩画で知られる。
ハーグに生まれ、ハーグで死去。
このヴァイセンブルフという画家の絵は、アングルは良いと思うのですが、細部に違和感を感じるのです。私の見方が変なのかもしれないですね。例えば、この絵は子供連れの人物がやけに大きく感じますし、次のハールレムの風景は遠景の教会の輪郭線が妙に太過ぎる気がします。やや具象的なエルスハウトはまとまり良いようですが、やはり左手な雲と空の境界が雑な気がします。
文句ばかり書いてしまいましたが、トレックフリートは本展カタログの表紙にもなっており、オランダらしい風景をよく捉えていると思います。やだ。上から目線ですみません。m(_ _)m
「ハールレムの風景」
ヤン・ヘンドリック・ヴァイセンブルフ
1845-48年 ハーグ市立美術館
「川の眺め」
ハーグ市立美術館
「エルスハウト、舟のある川辺」
ハーグ市立美術館
「山のある風景(フランス・サヴォア)」
ヘラルト・ビルデルス
1858年頃 ハーグ市立美術館
牛の描写が素晴らしい!と思いましたら、家畜のいる風景で知られる画家だそうです。
遠景の山も色彩といい、光をよく捉えて、引き込まれます。
ハーグに住んだのは短期間なものの、メンバーとの関係からハーグ第二世代とみなされているそうです。
肺結核により27歳で死去。早過ぎる死が惜しまれます。
「干拓地の風景」
パウル・ハブリエル
1880-82 ハーグ市立美術館
ハーグ第二世代と目されながら
ハーグ派とは一定の距離を保った画家。
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このセクション、つづく。。。
(143日目)
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画像及び解説は
本展カタログに寄ります。
監修・執筆
アン・デュマ(ロンドン、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ学芸部長)
ベンノ・テンペル(ハーグ市立美術館館長)
ハンス・ヤンセン(ハーグ市立美術館学芸部長)
古谷可由(ひろしま美術館学芸部長)
作家解説
古谷可由
荒井直美(新潟市美術館学芸員/元・新潟県立近代美術館主任学芸員)
太田智子(山梨県立美術館学芸員)
森川もなみ(山梨県立美術館学芸員)
翻訳
小林晶子(損保ジャパン東郷青児美術館主任学芸員)
富岡進一(郡山市立美術館学芸員)
協力
澤田佳三(新潟県立近代美術館学芸課課長代理)
渡邉祐子(下関市立美術館学芸員)
編集
(株)ブレーントラスト
発行
「近代自然主義絵画の成立ーオランダ・ハーグ派展」カタログ委員会©2013
制作
印象社