山種「水の音 展」①波のイメージ
山種美術館(恵比寿)
「水の音 展」ー広重から千住博まで
暑いこの季節に
なんてナイスな企画でしょうか。
青い日記帳のTakさんの説明と
山﨑妙子館長によるギャラリートーク
出品作品にちなんだ和菓子の提供
館内撮影の許可
と、特典が盛り沢山のブロガー内覧会に参加させていただきました。
全56作品
展示の数も程よく
テーマごとに
異なる涼しさを感じました🎐
1章ずつご紹介したいと思います。
なお、写真は
撮影者の技術が未熟なのとm(_ _)m
展示用高品質ガラスのため、
反射が強く、
あまり良く映っておりません。m(_ _)m
ただ、本展は図録の販売がないので
雰囲気だけでも
お楽しみ頂ければと思います。
♧1章 波のイメージ
まず最初に出迎えてくれるのが
この絵。
奥村土牛 「鳴門」 1959年
(カテゴリーは海)
土牛70歳の作品。70歳でこの大作を描く土牛の情熱に驚かされる。この色はどんな媒体でも再現不可能。
♢川 ー 流れゆく波
雉竹長春
荒木寛畝 1885年
清流
山元 春挙 1927-33年頃
滋賀の人。四条派、円山派に師事したが、渡米経験もあり。洋画や写真も学び、伝統的な写生画に新風を吹き込んだ。
何周か会場を回って、最後にこの絵の水に惹きつけられました。透明感。水鳥の緻密さ。清しい水の香が漂ってくるようでした。
鵜飼
川合玉堂 1939年
清渓放棹
平福 百穂 1925年頃
流転之詩
山本 丘人 1974年
「人生流転のうた…
渓流は軽井沢の谷間の素描。
構成は能楽の背景にヒントを得たもの。
垂直線をよぎって流れる白流は人々によってそれぞれに異うもの。」ー山本丘人『山本丘人』文藝春秋1977年
水花火(螺)
宮廽 (みやさこ) 正明 2012年
極薄の美濃紙に裏彩色。表には能装束に使われる絹を貼って投網を細密に描写。水は顔料の藍と白群青を用いて幾重にも点を塗り重ねる。顔料の経年変化と共に絵画の「移ろい」も楽しみ。
画家は平山郁夫に師事。オペラの舞台監督や執筆など幅広い分野で活躍
高知、四万十川の風景とのこと。
この絵はとても人気があり、なかなか人の途絶えることがありませんでした。「真昼間、真っ白な花火が目の前で川面に飛び込んでいった……」
本展に寄せられた画家御本人の文章も必読です。
水 渓谷
「滝」に出会う前の千住さんの絵。板の木目を水流に見立てた意欲的な作品です。こういうのもいいなぁ。
十弐月墨画山水帖のうち二月(〜8/17)
高久靄厓 (たかく あいがい) 1837年
下野国の人。池大雅に私淑し、江戸へ出て谷文晁に師事。渡辺崋山らと交流。正統派南画山水画をよくする江戸系南画家として活躍した。
♢海 ー躍動する波
松島(7月)
湘南の海水浴
黒田 清輝 1908年 油彩
本展唯一の油彩画。個人的にBest3にはいる好きな作品です。子供たちのはしゃいだ声の向こうに、波音が広がります。
ここで入口付近へUターン。右側の壁面を鑑賞。
夏の海
龍
那須宗隆射扇図
小堀 鞆音(ともと) 1890年
有名な源平の合戦、屋島の戦いでの那須与一の一場面。低い視点で、人物に明確な大小差をつけて遠近を強調したドラマティックな構図。うねる波が画面に迫力と緊張感を与えている。
潮騒
川﨑 鈴彦 2011年
生々流転
22年振りに六曲二双全てが展示。
迫力に満ちた大作。耳を澄ませば、荒れ狂う暴風の音が耳を塞ぎ、金属音のようにウミネコの声が空間を引き裂く。うねる波に音は無く、それがかえって不気味で飲み込まれそうな恐ろしさを感じました。
奥入瀬(秋)
奥田元宋 1983年
(カテゴリーは川)
幅4mの大作。元宋は大変「赤」にこだわり、夫人の回想によれば新しく赤い顔料が出る度に買い求めていたという。
会場を進んで、奥の壁面にこの絵が現れると、歓声があがりました。多様な朱色が印象的。企画の趣旨に反して渓流より紅葉が目を引いてしまいます。朱色の感激が落ち着き、改めてみると、したを流れる水の緩急様々な流れに魅了されました。
鳴門
川端龍子 1929年
木曽路之山川(雪月花之内 雪)
歌川広重 1857年
(カテゴリーは川)
阿波鳴門之風景(雪月花之内 花)
歌川広重 1857年
鶺鴒
前田青邨 1971年
波濤
加山又造 1979年
黒に白のコントラストが強烈な、記憶に残る作品。
(726日目)
長文、読んで下さりありがとうございます。あなたに涼が届きますように🍧
記載の無いものは 山種美術館所蔵。
会場内の写真は、内覧会のため特別に許可を得て撮影しています。
館長解説、キャプション抜粋を緑の文字で記しています。