「村上華岳 と 京都画壇の画家」 展 (2)
12月23日(祝・水)まで開催中
『村上華岳と京都画壇の画家たち』展
美術館HPはこちら
とばないときは、下記へ
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
村上華岳の作品が
関東でまとまって見られる
少ない機会の一つと思います。
今回はまず
村上華岳の作品のみを取り上げます。
会場図
番号は展示リストのナンバー。カタログの番号とは一致していません。
緑の文字は、カタログ解説を要約しています。
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44. 羆 1907年
京都市立芸術大学芸術資料館
京都市立美術工芸学校の卒業制作。現存する「華岳」名の署名の最初の作品。円山四条派の筆致が確認できる中、華岳らしい愛情も感じられる。1903年、京都動物園が開園し、華岳も実物を見たと容易に推察できる細やかで緻密な描写である。
46.二月乃頃 1911年
京都市立芸術大学芸術資料館
京都、吉田山北側から銀閣寺方面を眺望した風景画。元≪早春≫の題で、京都市立絵画専門学校の卒業制作。「南宗の筆法に古土佐の配色を施した点が巧み」と評価される。
銀閣寺の松山辺りの描写に特に苦心し、師に相談もしている。その師、竹内栖鳳は完成作を前に「観察が真率」「技術も頗る真摯」と賞賛。≪二月之頃≫と改題して文展にて褒状を得る。
45. 驢馬に夏草 1908年
さいたま市立漫画会館
文展で三等賞を受賞した作品。伝統的な花鳥画の構図を踏襲しつつ、役馬を選んだ点に華岳の個性が見られる。また、驢馬の肉付きや葉のハイライトなど表現には西洋画の影響もうかがえる。
トーンが非常に美しく魅入られた作品です。驢馬も良いですが、手前の道端の小さな白い花も可憐で瑞々しくて、惹かれました。
50. 春日耕牛図 1916年
京都国立近代美術館
柔らかな線で描かれた人物と牛の姿。象牙色の山肌と青空のコントラスト。山合いの花。春の日の長閑さが伝わる、とても惹かれた作品です。
62.青楓谿澗 1933年 墨画淡彩
山種美術館
所在不明の≪秋山紅樹≫との双幅のうちの左幅として伝わる。黄味を帯びた唐紙に、遠景は雌黄に薄墨、近景は青墨と緑、渓流のアクセントに胡粉と、清涼感豊かに描かれている。この種の山水画が数百点に上る。華岳は「心に娯(たの)しんでやっている」と制作の喜びを語っている。予期通りも嬉しいが「何か墨か筆の加減で、思いがけない境地が、忽然と開けて来たりすると、そんな時には、所謂神手瞑合とでもいいたいような気が」する(「山水遊魂」『画論』)と。
墨による仄かな陰影が画面に奥行きを醸し、抑えた色調が地色と引き立て合い、清々しさを感じさせます。
59.冬之山 1929年 墨画淡彩
山種美術館
≪冬之山≫は入江波光の箱書に拠る。昭和6年の個展では≪空山朝霧ノ図≫と題されている。華岳が幼少より親しんだ六甲の武庫の山々を描いたと思われる。初期の繊細な描線と後年の抽象性を帯びた自由な表現へと移る過渡期の大らかな筆致である。「菩薩に手を合わせる心で、山水に手を合わせることは不思議ではない」と語り、山水画にも仏画同様の信仰が宿ると考えていたようである。
続きます。
(1291日目)
読んで下さり、ありがとうございます。あなたの切なる祈りが叶いますように🌟