特急あじあ号。『ようこそ日本へ』展
東京国立近代美術館
『ようこそ日本へ』
1920-30年代のツーリズムとデザイン
先の恩地孝四郎展とあわせて
鑑賞しました。
本展フライヤーの紹介によりますと
1920-30年代は
ツーリズム全盛期だったようです。
シベリア鉄道との連絡による南満州鉄道の国際化(1911年頃)やパナマ運河(1914年)の完成が、世界的な旅行ブームを日本にも波及させることとなり
日本政府は1930年に国際観光局を発足させました。
円安や観光キャンペーンの効果もあり
1930年代中頃には外国人観光客は4万人を超え、その消費額は1億円を突破。観光は主要な外貨獲得産業となりました。
本展は、キャンペーンツールなどによって、当時の日本のイメージを探るものです。(以上、フライヤーより。赤字は本文抜粋)
昭和初期は一つの文化の爛熟期。
海外旅行熱が国民にも広まっている点は現代ととても似通っているように感じます。
私がまず喜んだのは
満州鉄道の特急あじあ号が紹介されていたこと。
設計は吉野信太郎。
大連ー新京(長春)700kmを8時間で結んだ、日本の誇る特急です。当時の最高速度が時速130km。新幹線に繋がる世界に冠たる日本の鉄道技術の緒がここにありました。
それからもう一つ嬉しかったのは
杉浦非水の作品を
たくさん見れたことです。
やっぱり好きですね〜。
台湾旅行の広告で
こんなカワイイのもありました。
国を挙げての外国人観光客誘致。
ポスターデザインも綺羅星のごとく
有名画家の作品が沢山です。
橋口五葉
新しく造船された三隻を姉妹に見立てた
小磯良平の手によるポスター。
それぞれサンフランシスコ、シアトル、ロンドン線に就航。外国航路の華やかさが伝わります。しかし、第二次大戦勃発により三隻とも空母に改造され、太平洋に消えたのでした。涙。
こういう歴史を知るのは辛いですね💧
そのほか、横山大観や上村松園、堂本印象、川瀬巴水、、、
竹久夢二のディナーメニューカード
などもありました。
春信さんも。
「不詳」となっているので本物ではないのかもしれません。
「大正の広重」と呼ばれた
吉田初三郎による
《鉄道院所管線路図≫1918年
斬新なジョスタ・ゲオルギー=ヘミングのポスター 1932年
そしてちょっとお得感。
原節子さんの表紙。これで15,6歳。
可愛らしいですね〜。
撮影の原さんがグラフィックデザインの原弘さんなのかは、ちょっと分かりません。年代的には妥当ですが……。
撮影:原弘 1936年
終盤の25分の映像も含め
見応えたっぷりの企画でした。
楽しかったです。
画像は本展図録からお借りしました。©2016 東京国立近代美術館
☆昭和初期の文化って本当に素敵です。戦争がいかに多くのものを破壊したか。辛い気持ちにもなりますが、こういう良心ある文化に触れること、先人の想いに触れることは、先行き不透明の現代、俯きがちの自分に希望を与えてくれます☆