アートシーン「原田直次郎展」
≪アートシーン≫のコーナーで
取り上げられていました。
2016年 2月 28日放送
原田直次郎 展
語りは
伊東敏恵アナウンサー
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明治の文豪、森鴎外
ある画家の展覧会の開催に奔走します
会期はたった1日
その作品は人々を圧倒しました
画家の名は 原田直次郎
鴎外の展覧会から
およそ百年ぶりとなる展覧会です
原田は明治17年
ドイツ、ミュンヘンに留学
本格的に油絵を学びます
鴎外と出会い
固い友情を結んだのもこの頃でした
ミュンヘン近郊の村を描いた作品です
「風景」1886年
陽光に照らされた樹々
庭先に遊ぶ少年や鳥
対象を徹底的に見つめ
描く技術を習得しました
原田が特に熱心に取り組んだのは
人物画です
「裸体習作」1884-86年ごろ
モデルの老いて痩せた背中
人物の内面まで写し取ろうとする
直向きな思いが感じられます
そして生まれた代表作
『靴屋の親爺』
ドイツ滞在最後の年に描かれました
「靴屋の親爺」1886年
光と影のコントラストの中、
浮かび上がる鋭い眼差し
眉間に刻まれた深い皺
徹底した描写で
無名の職人の生き様まで描き出したその絵は
日本の洋画史上に残る傑作です
原田は明治20年に帰国
その頃日本は
急激な西洋化への反動から
日本美術の復興が叫ばれ
洋画家不遇の時代でした
原田は肖像画などで
生活の糧を得ながら
西洋画の普及に奔走します
「毛利敬親肖像」1890年
しかし36歳
志半ばで病死しました
埼玉県立近代美術館 学芸員 吉岡智子さん
原田は、西洋絵画の本質そのものを
伝えようと努力していたと思います
技術の確かさ
しっかりとした油彩画の魅力
西洋絵画が排斥されていた時代にあって
日本にそれを伝えようとした
理念をご覧いただきたいです
鴎外が自宅に飾っていた
原田の作品です
「雪景」
轍の残る雪道に
今は亡き友の人生を重ねていたのでしょうか
《巡回》
4/8〜5/15 神奈川県立近代美術館 葉山
5/27〜7/10 岡山県立美術館
7/23〜9/5 島根県立石見美術館
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画像はNHK教育「日曜美術館」よりお借りしました。