アートシーン「樹をめぐる物語」展
≪アートシーン≫のコーナーで
取り上げられていました。
2016年 5月 8日放送
フランスの風景
樹をめぐる物語
-コローからモネ、ピサロ、マティスまで-
語りは
伊東敏恵アナウンサー
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樹木というモチーフを通して
フランスの風景画の変遷をたどる
展覧会が開かれています。
詩情溢れる風景画で知られる
カミーユ・コロー
カミーユ・コロー
エトルタ近くの風景 1872
生い茂る木々の下で
野良仕事に励む村人
自然と向き合いながら
どこにでもありそうな情景を
美しく柔らかな色彩で描きました
水のほとりの景色を得意とした
ドービニーの作品です
シャルル=フランソワ・ドービニー
ヴァルモンドワの下草 1872
樹木の美しさやみずみずしさを表わそうと
画家たちは
自然をより深く観察するようになっていきます
損保ジャパン日本興亜美術館
主任学芸員 小林 晶子さん
19世紀に入る以前、特にフランスでは
風景や自然は
歴史画や物語や宗教画の背景として
描かれることが主でした
19世紀、特に半ば頃になると
自然が主題の作品が盛んに描かれるように
なっていきます
戸外でスケッチをし
それを元にアトリエで
理想の風景に仕上げるのが主流でしたが
印象派の時代になると
戸外で仕上げまでなされるようになっていきます
刻々と変化する自然を
画面に留めようとする画家たち
クロード・モネ
ヴェトイユからの河岸からの眺め、ラヴァクール(夕暮れの効果) 1880年頃
印象派を代表するモネは
時間や季節によって移りゆく
自然の光と色の変化に魅せられます
様々な天候や光線の下で
同じ場所を繰り返し描きました
光の強さを色によって表わそうと試みた
ピサロ
カミーユ・ピサロ
マトゥランの丘にて、ポントワーズ 1871
樹木の色を微妙に変え
変化を付けているのが分かります
カミーユ・ピサロ
樹のカーテン(色に関する書き込みのあるスケッチ)
1877頃
ピサロがスケッチした樹木には
色を細かく記したものも残されています
色にこだわることで
より正確に自然を捉えようとしました
光を更に科学的に追及し
点描で表わそうとしたのが
新印象派の画家たち
レオ・ゴーソン
樹木の向こうの村 1890
絵の具を混ぜずに
色の点として置き
より明るい光の表現を目指しました
シャルル・アングラン
ル・クロ、ノルマンディー 1907-1908年頃
樹木は風の動きや光を
効果的に表現出来る格好の主題でした
印象派の流れを汲みながら
斬新な手法で自然を描こうとする画家たちも
登場します
明るい色使いが特徴的な
モーリス・ドニ
モーリス・ドニ
小さなブルターニュの女性たち、沼のほとり
1892年頃
風景をデフォルメし
後の抽象絵画にも影響を与えた一人です
対象の色のみならず
その強さにも注目したアンリ・マティス
アンリ・マティス
オリーヴの並木道 1919
絵の具を絞り出したままのような力強さで塗り
樹木の生命力を表しました
素朴な風景に
新たな時代を感じさせる一枚です
<巡回>
札幌芸術の森美術館 7/9〜8/21
岐阜県美術館 8/30〜10/16
山梨県立美術館 10/22〜12/11
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画像はNHK教育「日曜美術館」よりお借りしました。