11月14日(Fri)
汐留ミュージアムにて
「キリコ展」関連企画
山田五郎さんによるアートトーク
を拝聴してきました。
かなりアップが遅くなってしまいました💦💦
が。
すごーく面白かったので
記事にしておきます。
山田五郎さん。
テレビで拝見するそのままの印象。
トークもすっごく上手!
聴衆を惹きつけるパワーが
ありますね!
内容も、
確かな知識に裏打ちされた
奥深さを持ちつつ
素人目線にも立って
分かり易く解説。
その解説も
五郎イズムな咀嚼を加えた
浅過ぎず
マニア過ぎず
好奇心を突いてくる絶妙な匙加減。
アート関連のトークショーで
もっともっと聴いていたかった
初めてのショーかもしれません。
その五郎さんトークに
おこがましくも
独自の副題を付けるとするなら、、、
キリコを巡るキーワード
「ニーチェとピカソ、その妻のロシア人美女」
なんて、どうでしょうか?
これ、
五郎さん目線で読み解く
キリコ芸術のキーワードです。
<<キリコとニーチェ>>
五郎さん曰く
キリコはとても謎が多い画家。
この 「謎」 には
??
なんでそ〜するかな〜??
という不可解も含みます。
絵も謎
題名も謎
つまんないことで喧嘩して
後年記した「回想記」
も、ひとの悪口ばっかりで
本人像がよく掴めず謎!
その謎を解く
一つの鍵が、ニーチェ。
山田さん曰く
ニーチェは詩人。詩人過ぎておかしくなっちゃった人
そのニーチェに激しく共感したのが
キリコでした。
ニーチェは西欧には珍しく
東洋的な円環の時間観を持ち
永劫回帰
を表現しました。
この無時間の世界を
キリコは
絵画で表そうとした。
それは
弁証法を否定し
即ち、近代化を引いては近代そのものを
否定することでした。
そのため
キリコは
「自分はモダニズムじゃない」
と、怒るのでした。
詩人ニーチェに傾倒したキリコは
ニーチェと同様に世界を捉えようと
したのです。
ですから
謎めいた絵や題など
理屈で分かろうとせず
文学的に味わえば良い。
形而上とは
個別性、時空を超えた抽象概念のこと。
そういった
形而下のものを並べて醸し出される
雰囲気、概念、観念
といった
文学的情緒を表現しているだけ。
だから
謎!なーんて、あまり難しく考えなくて良い
すごいところに
落としてきましたよ。
そんなキリコの
独特な画風はといえば
青年期に移り住んだ
ミュンヘン
に、大きな影響を受けている
だろうと。
当時のミュンヘンを席巻していたのが
ドイツ象徴主義。
代表的な作家がこちら。
マックス・クリンガー(代表作「手袋」)
アーノルド・ベックマン(代表作「死の島」)
キリコの絵は
この2人に大変影響を受けており
影響どころかなぞったように
似ていると。
(スライドで比較されたのですが、
会場が爆笑に包まれるほど、部分的な著しい合致にビックリしました)
ドイツ象徴主義はやがて
細細とした拡がりの中で
抽象表現主義という
大きな流れに至るのですが
キリコはこの源に連なっている
という確固とした自覚が
ありました。
この時代、
この象徴主義と相反する立場として
芸術の中心地
パリ
を席巻していたのが
印象主義。
こちらは
目に映るものを
表現することによって
内面に印象を訴える
というもの。
内面の印象を
アウトプットする
象徴主義とは
全く逆の手法でした。
その手法の鮮やかさや
技術的な新しさ故
多くの支持を得て
やがてはヨーロッパ全土に広まり
モダニズムやシュールレアリスム
といったあらたな潮流を
生み出していきます。
この
パリ→印象主義→モダニズム&シュールレアリスム
という流れを
キリコは
自分とは違う!
と、思っていたのに
周囲の認識がズレていた。
ようで、
それが喧嘩の原因にもなったり
していたようです。
と、
「パリ」
が出てきたところで
また新たな展開が始まります〜
つづく……。
(851日目)
拙い文章をお読み下さり、どうもありがとうございます。あなたに文学的な喜びが訪れますよ🌹うに
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